急いてはゲームを仕損じる?

 ゲーム関連サイトの中では最大手に位置するGamespotでは、ユーザー(会員)がゲームに対するレビュー(或いは採点)を書き込めるようになっている。この手のコメントを残せる機能を持ったサイトは特に珍しくはないが、GSでは同時にゲームの難易度やクリア時間についてのアンケートも実施しており、このデータはなかなか見ていて興味深い。その中でゲームクリアまでに掛かった時間について見てみると、「10時間以下」・「10-20時間」・
「20-40時間」etcといった分類になっているのだが、例えば”全体の7割以上”のように大半を一つの区分が占めるというケースは稀で、通常はそれなりにバラける様になっている(なおこのアンケートはクリア時間を「初回クリアに掛かった時間」といった風に厳密に定めている訳ではないので、「リプレイ分を含めている」・「マルチプレイの分も足している」といった若干不正確な要素は混じっている)。RPGやRTSの様なゲームならば大きなバラつきが生じるのは分るのだが、FPSの様なアクションゲームにおいても結構な差が見受けられる。今回はこのFPSゲームでのクリア時間の個人差について書いてみたい。


 ゲームの公式Forumなどを見ていると、「X時間でクリア出来てしまった。短過ぎる。」といった不満が書き込まれる事がよく有る。その後は「確かにその通りだ」という賛成意見や、「幾ら何でもそんなに短くは無いだろう」、「難易度Easyでプレイしているのではないか?」等の反対意見のレスも付いたりするのが普通だが、そこから発展して”どんな風にゲームをプレイしているのか”という点にまで踏み込んだ書き込みが行われるケースもある。その辺を参考にしながらクリア時間の変化を生む要素を考えてみる。


 まず非常にクリア時間に影響が強い要素として、プレイヤーにとって戦闘が簡単なゲームほどクリアまでは早くなり、難しくて何回もセーブ地点からやり直すならばクリアは遅くなるという点が挙げられる。この件に関しては「最初から選択可能な最高難易度でプレイするからそれなりに時間が掛かる」という人は結構居るようだ。とにかく難しくないとクリアしても爽快感が感じられないという意見。或いはNormalは一般的なゲーマー向けなのでヌルくてやっていられないという考え方。
 それと決してヒントに頼らないという人も居る。純粋な謎解きやボス戦等での敵の倒し方が分からなくても、「ヒントを聞いてしまうと自分でクリアした事にならないから」という理由で、何時間悩んででも自分でやろうとするので何処かで詰まると長くなるというタイプ。同じ様な理由でクイックセーブの様な物は極力せずにクリアする主義なので、死んだら相当前に戻ってやり直すから長くなるという人も。


 また影響がある要素として、マップ内でどれだけ寄り道するかというのも関係して来る。ひたすらにメインルートと考えられる道を突き進むスタイルと、脇道が有るのならば寄って見るというスタイルでは、ゲーム全体を通せば結構な差が生まれるだろう。これは寄り道を面倒臭がるかどうかが大きいとは思うのだが、「シチュエーション的に急がないとおかしい」という意見を見た事も有る。つまり大抵のケースでは主人公は目的に向けて急がないとならない状況に置かれているのだから、とにかく先を急ぐという選択肢を選ぶのが当然であり、寄り道したりするのはおかしいという理論。確かに某地点をクリアした後にグズグズして付近をうろついている間に新たな敵がやって来てしまうかも知れないし、寄り道して遅れた結果として目標地点到達前にそれが達成不可能になってしまう可能性も”現実ならば”大いに有り得る。実際にはゲームとしてそういった事は起きないような設定にされている事がほとんどだが、主人公と同化してプレイするという観点からすると、ゆっくりしているのは不自然であるという理論は筋が通っている。
 他には強迫観念で自分を追い込む為に急ぐという人も居た。イベントとして時間制限内に目的を達成しないとならないというケースが有るが、この様な緊張感を持ってのプレイが好きなので、そういう設定が存在しないゲームでも「とにかく一秒でも早く先に行かないとならない」という縛りを自分で心の中に設けて、自分を脅迫するようにして先を急ぐプレイで面白さを増しているという話だった。


 逆に寄り道する方では、戦闘ばかりを休む間もなく続けていてはゲームに緩急が無くなり、結果的に単調になってしまうという意見が有る。私自身は割りと寄り道はする方なのだが、その理由としてこれは影響が大きいかなという気がする。同様に「折角製作側が作ったのだから行ってあげるべきだろう」とか、「そこに実は面白くなるようなイベントが存在している可能性も有るから回らないと損になるかもしれない」という貧乏根性も含まれているように思う。これとは反対に戦闘重視の考えなのだが、マップをクリアする時に倒し残している敵が居るのは不満なので、隅々まで回って敵が出現しないかをちゃんと確認するという意図から寄り道を探索するという人も存在する。シークレットが存在するなら全て取るという考えの人もこれと同じと言える。
 ちょっと変わっていると感じた意見としては、「長時間は戦闘を続けられないので、間を取る意味合いで寄り道による探索を行う」というのが有った。これはゲームに慣れていないからというケースも有れば、非常に戦闘に集中するタイプなので長時間連続しては行えないという人もいるようだ。他に昔見た意見では「オートマップを徹底探索していた頃の癖で全ての場所に一応は行ってみる」というのも有った(昔のFPSはオートマッピングが備わっている物が多かった)。



 自分自身はとなるとそれ程先を急がない方であり、分かれ道が有るのならばどちらにも行って見てみるというのが基本姿勢。これは将来的にもしレビューを書くとなった時に、急いでクリアしていて重大な見落としが有るとレビューに誤りが含まれてしまう可能性が高くなるから、という考えが強く影響しているとは思う。例としてはいろいろと考えられるが、例えば或る程度は寄り道して強力な武器の弾薬を集めないと厳しくなるというバランスで作られているゲームにて、一切寄り道せずに進んで”弾薬が少ない為に異常な難易度”という評価を下してしまうとか。
 それと2002年辺り頃までのFPS・TPSでは、20時間前後のボリュームは当たり前で30時間程度もザラに有るという感じだったので、「次にプレイしたいゲームが控えているので急ごう」という意識も有ったのだが、近年になってゲームのボリュームがどんどん短くなるに連れて「そんなに急いでもしょうがない」という感覚の方が強まっている。「ゲームの面白さに長さは関係なく、むしろ面白さを短時間に凝縮した方が良い」という開発会社を中心とした主張も確かに肯ける面は有るのだが、「映画だって2時間程度という短さの中で面白さを表現している」という映画との相似理論については、「映画とゲームは違うし、違っているからこそ映画を見るのではなくゲームをしているのだ」という反発も感じてしまう。


 また最初は早目にクリアしてやり、リプレイ時にじっくり脇道等は探れば良いという考え方の人も居ると思うが、私としては最初のプレイで詰まらなかった時にはもうリプレイはしなくなるから、そうなるとじっくり回ればもっと面白かったのか?という疑念を抱いたままの状態でそれっきりになってしまうので、それは避けたいという意見になる。
 結果的に先を急がずにじっくりプレイするのが私のスタイルと言える。ゲームのボリュームが平均して12時間程度で、10時間以下という物が既に珍しくない。しかも今後その短さはより加速して行く様に見えるという現状からすると、じっくりと急がずに進めるというこのプレイスタイルは継続して行くだろう。しかしもっとそれが極端になってリプレイ前提の非常に短いゲームが増えて来たら、それに合わせて短時間クリアでリプレイを行うというスタイルに変わるかも知れない。ただあまりそれは個人的には好ましい状況とは思えないのだが....。


 最後に付記。一応レビューには自分のプレイ時間は掲載するようにしているが、当然各人のプレイスタイルは違うのでそれが参考になるかは判らない。だが傾向としてはいずれのゲームでも似て来るとは思うので、「大体自分がプレイするとこの人の7割程度の時間でクリアになる」といった当たりを付ける事は可能ではないかと考えている。

「急いてはゲームを仕損じる?」への2件のフィードバック

  1. Seiryu_PGD: kuribou
    ゲームにおける最適な必要プレイ時間というのは無い、ということの表れですかね。
    確かに内容の濃さとテンポによって変わりそう。
    またそのうちのどれをチョイスして楽しむか、というプレイヤーの趣味によっても。
    最近のFPSはよく作り込まれてる物が多いように感じますし、
    グラフィック志向も未だに健在なので、
    じっくりとマップを回ったり、色んなことを試してみたりするのが良さそうですね。
    私も最近その傾向になってきてます。
    最速プレイをしようとすればかなり速くなるが、
    楽しもうと思えば色んなことが出来る、というスタンスは
    テンポを悪くしないためにも大事なのかもしれませんね。
    プレイヤーのペースで楽しめますし。

  2. Seiryu_PGD: NAMIKI
    オートマップ時代の癖という説はけっこう衝撃的です。言われてみれば自分の(端から踏破地域を埋めていって、まるでレベル構造からシークレット位置を探るような)探索のやり方には思い当たるものが。まあショットガン系の使い方なんかもDOOMの癖がなかなか抜けないくらいですし。
    市場全体が”探索しないと詰まる”から”探索するかしないかは好みで”という方向にシフトして(それ自体は自由度など利点も多いのですが)、100%に近い探索にこだわる人間にとっては後半が楽すぎる、ないしリソース過剰で緊張感に欠けがちというのは対策が欲しいところです。FPSは戦闘能力がプレイヤーの行動に直結しやすいので、リソース面の調整こそ作品の印象を大きく左右する要素だと思いますし。現状でも装備リセットや持てる量の制限などがありますが、どれも一長一短ですね。
    青龍さんが書かれてるように探索をするプレイヤーは特に楽になることを期待してるわけではない傾向にあるとすれば、色々工夫する余地はありそうです。といっても、やはり弾やアイテムといった直接的な利益は重要なモチベーションかもしれませんが。

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